21世紀の「家内制手工業」!?夫婦で一緒に仕事をする3つのメリットと、3ヶ月間の試行錯誤で分かったこと

「今度は、山内君にこれをお願いしたいんだよね」

独立直後から取引をさせてもらっている、クライアントの社長からご相談をいただいたのは、2016年の夏のことでした。
社長のアイデアは個人的にも好きですし、継続して任せてもらえるのが嬉しくて「期待に応えたい!」という気持ちはあったものの、当時は他のクライアントからもご相談が増え、仕事が受けきれなかった状況。

新しくチャレンジする分野で毎月に納品をできるような時間が取れなさそうで、困っていました。

そんな時にひらめいたのが、「妻に手伝ってもらえばできるんじゃないか!?」でした。

「妻にアウトソースしよう!」思いつきが実現に至るまで

そのお仕事とは、通販の同梱物(定期顧客向けに刊行する冊子)の企画制作、主にライティング。

・ちょうど妻が関連する製品を愛用していたこと
・ライターや制作の経験はないものの、かなりの読書家で文章が上手なこと
・育児の合間にもできそうなスケジュール・分量だったこと

もあって、1歳児を育てながら専業主婦をしている妻に相談したところ、心配そうな表情を浮かべながらも一応「やってみたい」とのこと。(若干、「言わせた」感が残りつつも、、)本格的に調整していくことにしました。

クライアントの社長に、「実は社員、えっと妻ですが、、に書いてもらおうと思ってまして。私がクオリティを担保するので云々〜〜」とどもりながら相談したところ、二つ返事で「いいよ!」とのこと
パートナーの団体さんにも(たぶん)快諾をいただき、妻がライター兼運用窓口、僕がディレクターとして取り組ませてもらうことに。

いつぞや歴史の教科書に出てきた「家内制手工業」(=江戸時代とかに機械設備なしの手仕事で家族生産していた工業)に、なんだか似ているなぁと一人ニヤリとして、ブログのタイトルに入れさせていただきました。

フリーランサーが夫婦で仕事を受ける、3つのメリット

このお仕事、今は3ヶ月目の納品を終えて、いったんの契約期間の半年間に向けて、おかげさまで大きなトラブルはなく進行しています。
これを機に、夫婦で仕事をするメリットを3つまとめてみました。

メリット 1: 会社(自分)にとって信頼できるパートナーに

1つ目のメリットは、リソースが助かることです。

社員を雇わずに仕事をしている方なら、事業が順調に進むとぶつかりやすいのが「リソースの壁」。

「だったら外注すれば良いのでは!?」と言っても非定型な仕事の場合は簡単ではなく、クオリティ・コストの面で合い、なおかつ信頼ができる方を見つけるのは難しいもの。
さらに一定の規模と継続性がないと、コミュニケーションコストの方が大きくなってしまい、アウトソースのメリットが出なくなってしまいがちです。

その点、夫婦だと人間的には一番信頼できる関係ですし、自宅で打合せをできるのでコミュニケーション・コストがかからないのもメリット。
クオリティの面では、妻は制作やライティングの仕事をした経験はなかったものの、↑で述べたように素養はあったので、僕がフォローすることで何とか回せています。
(僕では思いつかないような、生活者視点での企画や表現も!)

メリット2: 家族にとっての節税効果

2つ目のメリットが、給料が税務上の「経費」にできることです。

僕は会社を立てて、そこから給料をもらうという形式にしていますが、妻に手伝ってもらっている分も、会社から妻への給料に。
その給料は、会社にとって「経費」として落とすことができます。

経費になれば、その分の金額が会社の利益から減るわけで、納税額も少なくなります。
さらに個人事業主ではなく法人にしていれば、妻が個人として給与を受け取る時にも、給与控除が発生するため課税所得がマイナスになる効果も。
個人事業主の専従者控除と比較した時のメリット/デメリットは、ちゃんと比較できていませんが)

ちなみに、その分は単純に家計に入るというよりは、モチベーションの観点から「〇〇を買おう」「子どもの音楽教室の費用にしよう!」といった話も。

メリット3:妻個人にとって、仕事復帰の慣らし運転に!?

3つ目が、妻個人にとってのキャリア面でのプラスの効果です。

現在は専業主婦で、「子どもが大きくなったら働きに出たい」と考えているものの、出産前からのブランクを取り戻せるか?は見えづらい状況。
そんな時に、フルタイムではない(=月に10時間くらい?)、在宅勤務が可能な仕事(=ノートPCさえあればOK)ができれば、慣らし運転としては適切なのでは。

一度会社を辞めてしまった主婦が、フルタイムでない仕事を探すとなると、時短勤務で雇ってもらえる会社を見つけるのは難しく、パートタイムで時給1000円以下とかで働かざるを得ないことも。
さらに在宅勤務となると、「クラウドソーシングで、単価数百円の仕事を受ける」とかにになりがちですが、それよりはよっぽど時間単価が高く、また創造性が発揮しやすい仕事にできているのでは!?と、僕の目線だけでは感じています。

3ヶ月間回して実感した、難しさも・・

とメリットばかりを並べてみましたが、3ヶ月間実験してみて感じた難しさも。

妻は、ホテルのフロント→海運会社のオペレーション→IT企業の秘書という経歴なので、企画や制作の仕事は初めてだったというのもあるかもしれませんが、慣れない仕事を夫婦で進めるうえで課題もいくつか出てきました。

たとえば、時間と体力面。

1歳の子どもを育てながらだと、仕事に取り掛かるのは、子どもが寝た後になってしまいがち。
慣れない仕事に、納品前は寝不足になってしまうなど、苦労をかけたこともありました。

このままでは妻の自由時間がさらに短くなってしまうので、「一時保育の活用」や「生産性のアップ」など改善していこうとしています。

もう1つは、夫婦間のコミュニケーションとクオリティ担保。

長い付き合いといえども、ビジネスでの仕事を一緒にするのは初めて。
勤めてきた業界やカルチャーも違うので、お互いの仕事の仕方を合わせるのに苦労しました。

成果物にフィードバックしたり、スケジュール管理をしたりしつつ、「詰める」というわけではないつもりですが(汗)、なんだかぎくしゃくしてしまうことも。
別の仕事でお付き合いのある方(=独立して広告運用を請け負っている)からは、「初めは妻に手伝ってもらっていたけど、仕事のことでケンカになってしまうのが嫌だったので、手伝ってもらうのはやめたんですよ」との体験談も。

僕もあまりガチになりすぎないように&期待クオリティは満たすようなバランスをとりつつ、とはいっても仕事以外でも今後いろいろと乗り越えていく必要が出てくるので、そのための試金石として試行錯誤していければと考えています。

「独立」「副業」、または「職場復帰」といった方の参考になれば

とこれまで大ゲサに(?)まとめてみましたが、このように妻に手伝ってもらう仕事のやり方は、いったんは今のプロジェクトのみに。

総務や経理などは手伝ってもらいつつも、他の仕事は特殊なスキルが必要&切り離しにくいという事情があるために、引き続き僕個人でやっていく予定です。

(リソースの壁を打破するためには、どちらかというとクライアント内部との役割分担の調整や、パートナー企業との協業、個人の生産性アップ、といった方向性を重視していきたい。あと、そんなに仕事を受けすぎない・・w)

これまでに、「夫がデザイナー」「妻が営業」と分業してデザイン事務所をされている方や、プロジェクトやメディアを一緒にやられているご夫婦などのお話を伺って、個人的に学びや刺激をいただいてきました。
あと考え方としては、小室淑恵さんと駒崎弘樹さんの書かれた「ワーキングカップルの人生戦略 ― 2人が「最高のチーム」になる、という本にも。

独立して仕事をしている方や副業を始める方、または専業主婦で仕事復帰を目指されている方などに、何かちょっとは役に立てないかな!?と、僕も体験を棚卸ししてみました!

「21世紀の「家内制手工業」!?夫婦で一緒に仕事をする3つのメリットと、3ヶ月間の試行錯誤で分かったこと」への2件のフィードバック

    1. 犬侍さん、遅くなりましたが、コメントありがとうございます
      大学までの経歴、まったく同じですね!
      見つけてもらって嬉しいですー

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