コンサルティングの仕事で翻弄された3つの“変化”と、2018年に出したい価値

年末年始に昨年の仕事を振り返っていたのですが、2017年は改めて、クライアントの「事業の成長」を実感できる機会にいくつか恵まれたなと実感しています。
それ自体はとても喜ばしいことだったのですが、成長したらそれだけ新たな課題も生まれるわけで、自分自身が提供する価値や役割も変化していったり、個としてもっと成長するorあり方をシフトせねばと、薄々感じ続けていました。
モヤモヤと考えていたことを、これを機に文字にして整理しようと思います!

2017年に体験した、3つの変化

携わっていたお仕事ごとに異なるので一概には言えないですし、また具体的なことは書けないですが、以下のような変化があったなと(無理やり?)3つに分類してみました。

変化1:サポートする範囲が広がった

1つのご支援先で、「ご支援していた分野と、隣接する分野もサポートするようになる」など、お手伝い売る範囲が広がったケースがいくつかありました。

・広告による新規顧客獲得をサポートしていたクライアントで、その先のCRMをお手伝いするようになったり
・逆にLTVアップのためCRMを支援していた企業で、広告まわりの改善・テストも範囲とするようになったり
・またはコンテンツの制作を担当していたケースで、WEBサイト改善についてもアドバイスするようになったりetc

このような戦術レベルでのご支援から広がり、よりマーケティング戦略策定をお手伝いしたこともありました。
「CPA改善から、LTVアップまで」という“面”での広がりがあり、より経営に近い“上流”のレイヤーをお話しする機会も増えました。

変化2:実行支援からコンサルティングの比率が増えた

1にともなってか、自分自身が実行として手を動かす比率が減り、戦略・コンセプトの提言や、定期的なモニタリングや打合せでのアドバイスなど、コンサルティングの比率が増えました。

これまでは、クライアントにとっては正直「メインでない」分野で、0→1の立ち上げをお手伝いしたり、半分外部に委託して回しておく、というためにお手伝いしていることも少なからずありました。
軌道に乗って、規模がある程度まで大きくなってくると、「本流」としてあるいは将来の成長エンジンとして強化していこうという流れも。

これまでよりアサインするご担当者が増えたり、予算を上乗せしたりなどで、「内部で主導して回せるようにしていきたい」という要望をいただくこともありました。
そのために目指すべき方向性を考えたり、そのプロセスに伴走したり、といった関わり方が増えてきました。

変化3:経営上のボトルネックが他にも・・

事業が成長していくと、その分新たなボトルネックが登場してくる事例にもいくつか出会いました。

「売上を上げる」「顧客を獲得する」というところが幸いにしてグロースすると・・

・カスタマーサポートやコールセンターなどの部門での、オペレーションが逼迫する
・先行投資型ビジネスモデルの場合、広告投資のキャッシュフローが回らなくなる
・(採用難のトレンドもあり)人材の採用や配置が難しい

などといったことも。経営者やマネージャーの方とのお話のなかで、、ファイナンスや人材などのご相談に展開していく機会もありました。

改めて価値を出していきたい、5つの役割

そんな変化のなかで、自分自身はどのように役割をシフトいていけばよいのか?
どこを強みとして、そして価値としてクライアントに提供していくか?を、問われ続けているような感覚も抱いていました。

「ここを強化していこう!」と暫定的に整理した機能を挙げてみると・・

役割1:問題構造の見える化

「CVRが悪化」「離脱(退会)が増える」など、マーケティングが進んでいくと、何かしらどこかでさまざまな問題が発生します。
「問題の解決策を考えて、提案する」というのもたしかに求められることですし、実際にさせてもらうのですが、それだとモグラ叩きのように問題に追われ続けるし、内部にナレッジが残りにくい。

クライアントのご担当者が主体的に問題を解決するのを、サポートできるようになれば貢献度が広がるなぁと思っています。

(問題の緊急度や組織の成熟度等にもよりますが)チャレンジしていきたいのは、問題を解くための“補助線”を引いていくこと。
たとえば、「これまでの施策の成功失敗をマトリクスで分類する」「KPIを比較しやすいように、表でまとめてもらう」などで。

自慢じゃないですが、クライアントのご担当者には優秀な方々が多くいらっしゃいます。
まだマーケティングの知識やファンドレイジングの経験が少ない場合も多々あるのですが、「解くべき問題を定める」「その構造が見えるように整理する」などしていけば、自律的にPDCAサイクルを回していきやすいのでは!と考えています。

役割2:戦略のモニタリング・軌道修正

「コンサルティング」という役割の、最もオーソドックスな価値の出し方と思いますが、大事なのは立てた戦略が「仏つくって魂入れず」にならないこと。

特に事業の成長やフェーズの変化、ボトルネックの移動などにともなって、「どこに注力すべきか?」「何を捨てるのか?」の判断を迫られる機会が増えました。

限られた経営資源を、有望な機会に振り向けていく。
と書くと当たり前に聞こえますが、その絞りを不十分なままにしてしまったために、戦線を広げすぎてオペレーションが十分にできなかったこともありました・・

そうならずに、経営の上流(事業計画やリソースなど)とマーケティングの実務を、いかにスムーズに連携させていくか?
LPの訴求や広告予算の配分、新規とCRMを連動させたオファーとリピートの設計見直し、決済やオペレーションへの接続などなど。

内部のリソースと外部のトレンド、そして経営上の数字と現場の実感を鑑みたうえで、戦略をチューニングできるよう神経を研ぎ澄ませていきたいです。

役割3:異なるレイヤーのつなぎ目

マーケティングを成功させるためには、右脳系(企画・クリエイティブ系)と左脳系(データ・システム系)の大きく2つの機能が、両輪として回っていく必要があると感じています。

ですが、右脳系と左脳系の2つを、兼ね備えている人はレア。
企画(制作)担当とIT担当など、部署や役割も分かれていることもよくあります。
個人としての発想・考え方や、組織としての業務プロセスも、綺麗に対照的になるケースも。

一方、たとえばWEBサイトのA/Bテストでも、改善仮説を出してクリエイティブ案を作るという右脳系と、データをとれるように検証の設計からテストツールでの実装という左脳系まで、一連のプロセスが有機的に機能する必要があります。

僕自身は、(良くも悪くも)左脳・右脳のバランス型と捉えています。
なので、そのあたりの橋渡しがうまくいくように、双方の担当者とコミュニケーションしていく、もしくは組織としての機能がどちらかに偏っていたら足りない方を補完できるように、心がけていました。

(例)
・テスト結果へのIT担当者からの見解を、「どう売れるか?」に翻訳する
・ふわっとした改善アイデアを、定量的に検証するための方法に落とし込んでいく

なお同じように、異なる立場や機能が融合する必要がある場合としては・・

・事業会社とマーケティング支援会社(広告代理店やベンダー)
:事業会社内部の事情を踏まえずにマーケティングを実行しても無理が生じるし(特にNPOは特殊性が大きい)、一方外部の支援会社のマーケット視点や利益構造などを理解せねば長期的なWin-Winの関係は築けない

・経営と実務
:同じ数字を見るのでも、マクロ(事業の損益レベル)を踏まえないとダメだし、一方ミクロ(1施策の効果)がないとリアルさに欠けてしまう

かつて広告代理店と事業会社(NPO)、そしてマネジメント(事業の損益責任)と担当者の両方で、マーケティングにそれぞれに関わる機会をもらったので、そのあたりの実感値を掘り返しながら、異なる立場の方々の橋渡しをしていきたい!です。

役割4:学習の促進

役割1に書きましたが、問題解決のPDCAサイクルを自律的に回せるようにサポートしていきたいです。
そのうえで有効なのが、その時々に直面している課題に即して、適切なインプットを与えること。

マーケティングの定石や戦略のフレームワーク、あるいは業界のトレンドや他社の出稿状況、または異業界の成功事例などさまざまですが。

世の中に情報は溢れていますし、セミナーや本、WEB記事などマーケティングを学ぶ素材には事欠かないですが、価値を出せるとしたら・・

・ご担当者が個々に置かれている文脈に置き換えて「何を学ぶべきか?」をサジェストすること
・適切な素材を、人力でリコメンドすること
・理論をケースに置き換えるサポートをすること

なのかな?と捉えております!

役割5:0→1での一点突破

これまでは、自律サポート系の話をしてきましたが、最後は個人技について。
これがコンサルティングという範疇なのかは定かではないのですが、これまでの仕組みが機能しにくくなったとき、局面を個人技で打開できる存在でありたいなと考えています。

たとえば、あるクリエイティブが売れなくなったとき、新しい訴求やコピーをイメージラフでもざざっとつくるとか。
(特にダイレクトマーケティングにおいては、クリエイティブと戦略が密接に結びついているので)

・別の訴求のLPやコピーを作る
・CRMで新しい施策にチャレンジする
・動画や記事など、これまでと別のパターンで当てる

といった局面で、貢献できたことも何度かあったなと昨年を振り返って思い出します。
(はずしてしまったこともありますが、、手数を打つのも0→1では大事ということでm(_ _)m)

※逆に言うと、クリエイティブを直接つくるのは「コンサルティング」のお仕事では0→1以外はできるだけサポート側に回りたい

なおクリエイティブに限らず、何かを変えるときや創るときに、特にしんどいのは0→1の「先が見えない」フェーズ。

・フレームワークのたたき台を作ってみる
・収支のシミュレーションを、まず組んでみる
・問題の構造をチャートに落としてみる(役割1と重なっていますが) etc

気分的にも一番しんどい“取っ掛かり”を、まずは仮にでもアイデア出したり形にして見せたりする、ということは付加価値出しやすいポイントなのでは?と思っています。

自身の「時間の使い方」や「あり方」をどのようにシフトさせるか?

とこれまで「求められる役割」や「価値の出し方」の変化について書いてきっましたが、それにともない自分自身もどうシフトするのか?を考えねば!と捉えております。

ここへの明確な答えは出ていませんし、もう少し見えてから言語化したいなと思っていますが、1つ実感しているのは、「時間がボトルネックではなくなってきた」ということ。
僕も実行側にいるとき、サラリーマン時代はかなり長い時間働いてしまっていたし、「時間を投入すればするほど、成果が出る」という枠組みがたいていにおいて機能していました。

でも、今の自分にはボトルネックが「時間」から別のものに変化したと感じるようになってきました。

(例)
・市場の潮目や人々のマインドの変化に敏感になること
・良いパフォーマンスを出すための、肉体的・精神的なコンディションを整えること
・価値観や波長が合うパートナー・クライアントと出会うこと
・専門的/隣接する分野の知見をもっと深めること

一例ですがこれらが不足していると、いくら真面目にアウトプット出しているつもりでも、価値には変換しづらくなっているなと。
コンサルティングを「労働集約ビジネス」「高度な時給労働」とたとえる言説を受けて、僕も←のように捉えていたこともありましたが、「どうもそれでは、機能しないな・・」と実感するようになりました。

他にも、「遠回りやスピードダウンを許容する」や「自分の信念と異なる結果が出ても、柔軟にむしろ喜んで受け入れる」など、僕自身のあり方をシフトせねば!と感じる機会も出ています。
文章を書くことで内省するタイプでもあるので、時間をつくって&差し障りがない範囲でアウトプットしていきたい!です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です