クラウド会計ソフト「freee」で、個人事業主の確定申告の作業時間が3分の1になった

「独立」や「起業」をしたばかりの多くの方にとって、悩みの種は「確定申告」(決算書作成)でしょう。

「領収書を保管しても、記帳できずに溜ってしまう・・」
「そもそも、どの会計ソフトを導入すればよいかわからない(Macで使えるソフトが少ない」
「どの勘定科目に仕分ければよいか、分からない(記帳のたびにGoogle検索して手間がかかる)」

などなど、私も独立した当初はたくさんの苦労をしました。

初めて確定申告をした2012年3月には、ちょうど年度末のドタバタとも重なり、作業がまったく追いつかない・・
そこで、一度申告をした後も修正して申告ができるという「裏技」(?)を知り、「えいやー!」でつくって期日ギリギリに提出した後に、税務署の親切な職員の方にいろいろ教えてもらいながら、きちんと計算し直してなんとか出せた、というのは今だから言える笑い話です・・

と前置きが長くなってしまいましたが、そんな経理の素人の私が、2013年からずっと使い続けているのが、「freee」というクラウド会計ソフトです。

その「freee」を使って会計処理を効率化する方法解説した本「世界一ラクにできる確定申告」(原尚美・山田案稜)が秀逸だったので紹介をさせていただきます。

freeeとは、「簿記の知識がなくても簡単に使える個人事業主や中小企業のための会計ソフト」です。
無料から使えて、有料プラン(個人事業主プラン:980円、法人プラン:1980円)にアップグレードできます。

freeeの最大のポイントは、記帳作業の大部分が「自動的に」処理できる点です。
freeeのおかげで、決算書作成までの作業は、筆者(山田)の体感で50倍くらい速くなっています。
取引の数がたいしてない個人事業主であれば、1ヶ月分の記帳はものの3分から5分くらいで館長してしまうでしょう。

freee以前にも、クレジットカードや銀行取引の履歴をCSVでアップロードできるソフトはあったのですが、そのなかでfreeeの格段に優れているのは、「完全自動動機で情報を記帳してくれる」こと、そして「一度ルールを決めた取引は、それ以降まったく同じように記録してくれる」ことと言います。

この「完全自動同期」とは、具体的にはどういうことでしょうか?

freeeでは、ほとんどのクレジットカードの明細を自動同期で取り込むことができます。
つまり、もしクレジットカードを使って事業に必要な買い物をしたら、あなたがPCに打ち込むことなく、その取引が自動的に会計ソフト上にアップロードされるということです。
これは、銀行口座のネットバンクや交通系ICカード(モバイルSuicaやSMART ICOCA、PiTaPaなど)も同様です。

驚くのは、これだけではありません。
freeeでは、自動で読み込んだデータの内容から、どの勘定科目が適当なのかを予測して、候補を入れてくれます。

たとえば、あなたが「丸善 丸の内店」で事業に必要な本を、クレジットカードで購入したとします。
すると、クレジットカードの明細に出てきた「丸善 丸の内店」というワードから、freeeが「これは書籍だろう」と予測して、「新聞図書費」と勘定科目の候補を出力してくれる、と言えば分かりやすいと思います。。

残念ながら、予測は完璧というわけではありません。まちがった候補が入っている場合などは、正しい勘定科目を手入力する必要があります。しかし、一度設定をすると、次回からはその入力をfreeeが記憶して、それ以降は自動で正しい勘定科目で同期してくれるようになります。

このように入出金の記録が自動的に取り込まれて、勘定科目が予想された状態で出てきた取引の一覧は、「自動で経理」という機能で記帳処理をしていきます。

「2014年8月26日 260,000円 PE シヤカイホケンリョウ」→社会保険料
「2014年3月15日 1480円 ヤマダタクシー」→旅費交通費

このような予測が合っていれば、そのまま「登録する」のボタンを押すだけで記帳が完了。
間違っていれば、「編集する」をクリックして正しい勘定科目を登録すればOKです。

とこのようにユーザー視点に立った徹底した自動化によって、私も経理にかける時間が半分から3分の1くらいに減った感覚を持っています。
本来の業務に使える時間をより多くとれることはもちろんですが、以下のような精神的なメリットも大きいと思います。

・確定申告を控えた、暗澹たる憂鬱な気分がなくなった
・「誰にでもできる作業に時間をかけざるをえない」ことへのバカらしさを感じてモチベーションが下がることがない
・会計を効率化させようと、ワクワクしながら仕組みづくりに取り組める

というわけで、これから独立・起業を控える方にはfreeeはとてもお薦めしたい会計ソフトです。

また、この「世界一ラクにできる確定申告」は、私はfreeeを使った確定申告を一度行った後に読んだのですが、以下のようにToDoに落とし込める学びがたくさんありました。

・自宅をオフィスとして使っている場合の「地代家賃」などは、家事按分割合をあらかじめ登録して、年末の決算時に一気に事業用と個人用の支出の仕分けをする
・「プレイベート用口座」「入金専用口座(事業用)」「出金専用口座(事業用)」の3つを作る。銀行口座間の資金移動やクレジットカードの引き落としは、「口座振替」で登録する
・株式会社と個人事業の、どちらがお得か?

初心者の方にとっても、あらかじめ知っているだけで、経理に余計な工数をかけなくて良いような知恵を得られるはずです!

・「『領収書お願いします』は今すぐやめよう」(=レシートでOK)
・「スクラップブックとノリは今すぐ捨てよう」(=封筒に1ヶ月分をまとめて放り込めばOK)
・「勘定科目は覚えるな」(=法律で決められた勘定科目はない)